業種で見る在庫管理・倉庫管理(WMS)の効率化事例
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導入事例

医療機器や資材をGS1-128/QRコードを活用しロット別在庫管理を実現!棚卸時間が約1/5へ

業種:医療

臨床検査センターでの検査向け医療機器や資材は「使用期限」「製造ロット」の管理・トレーサビリティが求められます。
臨床検査センターである一般財団法人様は、在庫スイートシリーズを導入されてから約11年が経過。
「オンプレミスからクラウドシステムへ」「ハンディターミナルもメモリ型から無線へ」移行され「どこからでも在庫を確認」「リアルタイムにエラーの把握」を実現。
更なる業務改善を推進された事例をご紹介します。

システム導入と移行の経緯

はじめてのバーコード活用の効果と課題

総合臨床検査センターとして、医療機関から検体検査を受託されている一般財団法人東京保健会 病体生理研究所(以後、病体生理研究所)様。
日々、医療機関より、血液や尿・便・細胞などの検体を回収し、検査・分析を行われています。
取り扱うアイテムは、検査向けの医療機器や資材である、採血管、採尿管や採尿容器、新型コロナウイルスPCR検査キット、注射器など300アイテムほど。
約300施設より、月約30万件の検体検査を受託される財団法人として、医療業界に貢献されています。

事例紹介 病体生理研究所様

<一般財団法人東京保健会 病体生理研究所様>

システム導入前はExcelやAccessを利用して在庫管理を行われていました。
しかし、入力が追い付かず、在庫や入出荷履歴の把握に苦労されていたそうです。
売上集計のためには、「いつ」「どこに」「何を」「いくつ」出荷したのかを正確に記録する必要があります。
そこで、2011年に当社が販売していたパッケージシステム「在庫スイート3」をご導入いただき、正確な在庫や履歴の把握、ロット別管理を実現されていました。

しかし、運用する中でいくつかの課題もありました。

在庫スイート3はPCへソフトウェアをインストールして利用するオンプレミス型です。
課金対象は、オンプレミスでは一般的なインストールするPCの台数。
病体生理研究所様は3台のPCで利用されていたため、在庫の確認やラベル発行をするたびに利用できるPCの前に移動する非効率さがありました。

また、個人情報の取り扱いに対して厳しく管理され、セキュリティの徹底に努められています。
社内ネットワークでのWi-Fi使用も禁止されており、ハンディターミナルはメモリ型を使用。
置台(通信ユニット)にハンディターミナルを置いて、システムと連携させるため、他の人の作業状況がリアルタイムにはわかりません。
同じ指示書に対し、誤って2人が出荷作業を行った場合、途中まで作業を進めてしまう無駄や、取り出したアイテムを戻す不要な作業がが発生します。
メモリ型ハンディターミナルでは、他の人との共同作業に関わるエラーが発生しないことに不満でした。

11年間利用する間にご担当者も変わられています。
最初のご担当者様はAccessを得意とされており、在庫スイート3から出力したデータをAccessで加工され、様々な必要情報を抽出されていました。
しかし、Accessに関するドキュメントはなく、ブラックボックス化。
システムを導入したにも関わらず、担当者しか運用できない体制となっていました。

クラウドシステムへの移行

そうした中、当社は2014年に新サービスである「在庫スイートクラウド」をリリースしました。
オンプレミス型の「在庫スイート3」とは異なり、インストールするPCの台数に制限はありません。
当社より新サービスのご提案を定期的に行い、2017年に在庫スイートクラウドProへ移行いただきました。
どのPCからでも在庫の確認やラベル発行が可能になり、便利になったとお声をいただいています。

事例紹介 在庫スイート3から在庫スイートクラウドへ

ハンディターミナルに関しても、当社からは無線化の可能性を打診しました。
しかし、社内LANでのWi-Fi使用は禁止されているため、同じハンディターミナルを継続使用されることとなりました。

ホームルーター導入でハンディターミナルを無線化

メモリ型のハンディターミナルを導入して10年が経過。
大事に使われていましたが、故障も目立つようになりました。
当社にもご相談いただき、メーカーが販売を終了していることから、無線ハンディターミナルを再度提案。
合わせてホームルーターでの無線通信も提案しました。

ホームルーターを導入すれば、社内LANにWi-Fi接続することはなく、無線ハンディターミナルは在庫スイートクラウドを利用できます。
病体生理研究所様のセキュリティポリシーに沿った運用であることを資料にまとめてご紹介しました。

ホームルータ(Wi-Fi)導入提案書

システム部門含めた複数部署で慎重にご検討された結果、2022年に無線ハンディターミナルへの移行が完了されています。

事例紹介 ホームルーター(Wi-Fi)

<棚の奥にホームルーターが設置されている様子>

システム概要

入出荷は予定データとの照合を実施
基幹システムとデータ連携で効率的な売上登録

入荷は入荷予定を登録し、システムによる検品を実施されています。
入荷予定数や入荷予定残数を確認できるため、適切な発注判断を支援します。

受注業務は、医療機関にて発注書を受け取る部署と電話で受け付ける部署の2部門で対応。
各部門で、受注を出荷指示として登録されます。

集配ご担当者様は、医療機関に配送するアイテムを持ち出す際、ハンディターミナルで出荷検品(バーコード検品)を実施。
違うアイテムのバーコードを読むとエラーが発生するため、ミスを防止します。

出荷データはCSVで出力し、基幹システムとデータ連携することで、適切な請求を効率的に実施されています。

事例紹介 在庫管理システムを活用した運用

「GS1-128」「QRコード」を活用したシステム入力

医療業界ではロットレベルでの管理・トレーサビリティが求められます。
多くのアイテムは個装箱にGS1-128がありますが、バラ(中身のアイテム)には付いていません。
アイテムによっては個装箱にもGS1-128が付いていないものもあります。

そこで、在庫スイートクラウドよりQRコード現品票を発行し活用。
QRコード現品票はGS1-128と同じく「アイテム」「使用期限」「製造ロット」が扱えます。
保管する際に、個装箱に貼ったり、棚や箱に付けた袋に入れられています。

事例紹介 QRコード現品票

<QRコード現品票(個装箱へ貼付けたり、棚や箱に付けた袋に入れて管理)>

個装箱で出荷する場合は、個装箱のGS1-128やQRコード現品票を読み取ります。
バラで出荷する場合は、袋に入っているQRコード現品票を取り出して読み取ります。
バラ出荷では、サービスの一環としてアイテムと一緒にQRコード現品票を同梱されているそうです。

事例紹介 ハンディターミナルでGS1を読み取る

<GS1-128読み取りの様子>

事例紹介 バラの箱

<バラのアイテム>

事例紹介 QRコード現品票(製造ロット・使用期限)

<バラのアイテムにつけるQRコード現品票>

システムの効果

Accessを廃止し在庫スイートクラウドで一元管理、属人化から脱却

ご担当者が変わられるタイミングで、ブラックボックス化の原因となっていたAccess利用の廃止に向けて検討されました。
その結果、在庫スイートクラウドだけで運用が回ることが判明。
一元管理となり、運用がシンプルになりました。
作業が標準化され、誰でも同じ管理ができるようになったそうです。

コロナ禍で多発した分納入荷も、残数が共有でき適正発注を支援

入荷予定に対して実績と残の確認も可能です。
特に分納は、管理が複雑となりミスが発生しやすくなります。
新型コロナウイルスの感染者が急増している期間は、病体生理研究所様でも検査用キットの分納が多発したとのこと。
リアルタイムな発注残(=入荷予定残)がスタッフ間で共有できたことで、混乱することなく発注業務をすすめることが出来たそうです。

その場でミスが分かり品質・効率・意識が向上

作業者はハンディターミナルで出荷指示書のバーコードを読み取り、バーコード検品を実施。
指示と異なるアイテムや数量をピッキングしようとすると、その場でエラーが発生するため、作業者にミスを伝え、誤出荷を防止します。
また、同じ指示書に対し、誤って2回作業を行ってしまうなどのミスには「検品済み伝票」と警告を出してくれるため、効率的に検品作業が行えるようになったとのこと。
その場でミスに気づけることから、作業者のミスに対する意識が向上されたそうです。

事例紹介 バーコードチェック

<誤出荷のエラー画面>

ロットトレースで問い合わせにも迅速対応、
QRコード現品票の同梱で医療機関の満足度UP

医療業界では、「使用期限」「製造ロット」などのロット管理・トレーサビリティは必要不可欠。
在庫スイートクラウドでは、どの製造ロットを、いつ、どこに、誰が出荷したのか履歴情報を全て保持しています。
医療機関やメーカーからロット単位で確認依頼・回収依頼があっても、履歴を確認することで迅速に対応ができるとのこと。

出荷の際、バラのアイテムは「品目」「使用期限」「製造ロット」が表示されたQRコード現品票を同梱されているため、出荷先でもロットレベルでの管理が可能になります。
同梱されていないと、催促がくるようになるほど、出荷先でも活用いただけているそうです。

事例紹介 バラ管理用QRコードラベル

<QRコード現品票での管理>

棚卸の実施時間が2~3日から半日に短縮、在庫精度も大幅UP

メモリ型ハンディターミナルの使用時は、リアルタイムに情報が反映できないため、バーコードを活用せず、帳票での棚卸をされていました。
当時の作業は「在庫カウント・記帳」「集計」「Excel入力」「差異の洗い出し」など。
エラーをなくすため、慣れた方が2名ほどで対応され、2~3日ほどかかっていたそうです。

無線ハンディターミナルに変更されて、初めてバーコード棚卸を実施。
作業はハンディターミナルで「アイテムのGS1-128、またはQRコード現品票を読み取り」「在庫カウント・数を入力」のみ。
ダイレクトにシステムへ入力され、あとは自動集計してくれます。
作業が標準化され、誰でも対応ができるようになりました。
その結果、5名にて約半日ほどで終了

日々の業務での間違いがなくなったことから、棚卸の差異もほとんどなかったそうです。

事例紹介 バーコード棚卸

<バーコードを活用した棚卸>

今後、検討されている展開

在庫スイートクラウドは外部システムのデータと連携が可能です。(CSVデータやAPIにて連携)
現在は、病体生理研究所様は発注を紙や電話にて受け付け、在庫スイートクラウドへは手入力で行っています。
長期的な展望として、発注の受付けをシステム化させ、在庫スイートクラウドと連携により、作業の効率化を図りたいとのことでした。

事例紹介 病体生理研究所 ご担当者様

導入企業プロフィール

一般財団法人東京保健会 病体生理研究所
https://www.byotai.or.jp/
従業員数:140名
住所:東京都板橋区大谷口上町26-2
事業内容:総合臨床検査、その他公益事業として研究結果の発表、母子保健衛生事業、医療技術者研修事業、臨床研究助成事業、環境・公害研究事業
契約内容:在庫スイートクラウドPro/マルチデバイスオプション

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