在庫管理システムにおけるAndroidハンディターミナルの選定ポイント
目次
はじめに
バーコード読み取りの専用モジュールを搭載した専用モバイル機器が「ハンディターミナル」です。
ここ数年でAndroidを搭載したものが大半となりました。(本コラムを書いているのは2022年2月です)
クラウド在庫管理システムを提供する我々の元にも、ハンディターミナルに関するご質問やご相談が増えています。
本コラムでは、ハンディターミナルの基礎知識や、Android特有のポイントもご紹介します。
ぜひ、自社に適したデバイス選定にお役立て下さい。
※在庫管理システムにおける通信方式別ハンディターミナルの選定ポイントはこちらをご覧ください。
ハンディターミナルがAndroid化した経緯
多くのハンディターミナルのOSがAndroidになりました。
一説には、流通するハンディターミナルの8割にも上るそうです。
以前は、各メーカー独自のOSを搭載していました。
当時のCPUは非力で画面もテキストベース、出来ることは限られました。
その上、独自OSのハンディターミナルはアプリ開発が難しかったのです。
まず、各ハンディターミナル特有の開発環境を用意する必要があります。
その購入費用が数十万円かかることも珍しくありません。
開発言語もメーカーによってBasic、C、Javaなど様々で、提供されるライブラリも機種固有のもの。
開発を経験したエンジニアも少なく、開発情報をネット検索しても出てきません。
マニュアルやメーカーのサポートサイトを読んで分からなければ、メーカーに問い合わせるしかありませんが、メーカーによっては開発サポートも期間限定での有償対応。
こうした「開発のしづらさ」より、以前より汎用的なOSのハンディターミナルが望まれていたのです。
まず、その受け口となったのがWinowsCE系OS※です。
(※バージョンにより呼び名が異なるため、本コラムでは本表記で統一します)
1990〜2000年代にかけて普及したPDAに多く採用されたOSです。
2010年代になるとPDAは見かけなくなりましたが、ハンディターミナルではWinowsCE系の採用が続いていたのです。
そうした中、2007年にiPhoneが登場し、2010年代になるとiPhone/Androidスマートフォンが広く普及したのはご存じの通りです。
そうした流れを受けてMicrosoftはモバイルOSからの撤退を表明。
ハンディターミナル各社は対応に迫られました。
iOS(iPhoneのOS)は他社へ提供されないため、必然的に各社ともAndroidを採用するようになったのです。
在庫管理システムにおけるAndroidハンディターミナルの確認点
ハンディーターミナルの選定ポイントは利用する業務によっても異なります。
本コラムは我々の専門分野である「在庫管理」「入出庫・倉庫管理」をターゲットに話を進めます。
テンキーの有無と画面サイズ
ハンディターミナルにはテンキーが付いているタイプと、スマートフォンのような外観でテンキーが付いていないタイプがあります。
以下の点を考慮してテンキーの有無を判断しましょう。
テンキーが求められがちなケース
・入出庫や棚卸登録での数量入力の頻度が多い
・手袋をしている
テンキーの必要性が低いケース
・数量入力の頻度が少ない
・アルファベットや日本語入力があり、ソフトウェアキーボードのほうが入力しやすい
なお、テンキー付きのタイプのハンディターミナルは、テンキーなしと比べて画面が小さい傾向にあります。
一般的な画面サイズは、テンキー付きで3~4インチ、テンキーなしだと4~6インチです。
読み取り角度
ハンディターミナルの筐体に対する、読み取り角度(スキャン角度)も確認しましょう。
読み取り角度はハンディターミナルによって決まっています。
導入後、現場スタッフから不満が出ない様に、事前に確認しましょう。
ストレートタイプ
筐体に対して読み取り角度がまっすぐ、または角度が浅いタイプです。
高い所にあるバーコードの読み取りが得意です。
棚にある商品のピッキングに適しています。
下向きタイプ
筐体に対して読み取り角度が深いタイプです。
机の上のバーコードや、床に置いた段ボールのバーコードの読み取りに適しています。
(国内市場では、下向きタイプが好まれる傾向があります)
スペックと筐体の大きさ・重さ
スペックと筐体の大きさ・重さのバランスを考慮しましょう。
主なポイントをピックアップします。
・画面が大きいほうが閲覧性は良いが、筐体は大きくなる
・テンキー付きだと重くなる
・頑丈さを売りにする機種は重くなりがち
・女性スタッフが多い現場では小型軽量が好まれる
なお、冷凍や防爆といった特殊用途向けのハンディターミナルは機種も限られます。
そうした要件が必須の場合、機種はおのずと決まってしまいます。
Androidのバージョンとバージョンアップ
Androidのバージョンも確認ポイントです。
利用するシステムの動作条件と合っているかを確認しましょう。
また、ハンディターミナルの中にはAndroidをバージョンアップできるものがあります。
出来るか出来ないか、出来る場合はバージョンアップのタイミングを制御できるか?
確認しましょう。
GMS対応
Androidは厳密に言うとメールや通話といった基本的な機能のみ提供しています。
・Google Play
・Google chrome
・YouTube
・Google Map
といったアプリは、GMS(Google Mobile Serviceの略)が搭載されていることで提供されます。
スマートフォンではGMSがないものはあまり見かけませんが、業務用のハンディターミナルでは一定の割合でそうした機種があります。
自社が採用するハンディターミナルにGMSが必要か?
検討しているハンディターミナルはGMSに対応しているのか?
確認しましょう。
64bitアプリ対応
当初は32bitCPUにのみ対応していたAndroidですが、2014年にリリースしたAndroid 5.0より64bitにも対応しました。
その後は64bitへの移行を推進し、ついに2021年には32bitアプリがGooglePlayから配信できなくなりました。
他の方法でインストールは出来ますが、アプリの自動更新機能を有効に出来るのはGooglePlay経由でインストールしたアプリに限られます。
なお、ハンディターミナルのスペック表を見ても64bitアプリに対応するのか分かりづらい場合があります。
そんな時は、各メーカーに問い合わせて確認しましょう。
その他
一般的なデバイスを購入する際に注意するポイントは、ハンディターミナルを選ぶ際も同じです。
価格はもちろん、サポート体制、企業として信頼性や将来性なども考慮すべきポイントと言えます。
最後に
当社が提供するクラウド在庫管理システム/倉庫管理システム(WMS)「在庫スイートクラウド」は、一定の条件をクリアするAndroidハンディターミナルであれば利用可能です。
本コラムが、自社の現場にあった機種選定の参考になれば幸いです。
システム導入の際は、機種選定のご相談もお受けしております。
お気軽にお問い合わせ下さい。
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