在庫管理・倉庫管理(WMS)のお役立ちノウハウまとめ
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在庫管理ノウハウ集

弥生販売と在庫スイートクラウドProを連携する際のポイント

システム基礎知識

弥生株式会社がリリースする「弥生シリーズ」は中小企業などスモールビジネス事業者のバックオフィス業務(会計、給与計算、販売管理、顧客管理)を支えるソフトウエアです。
シリーズ全体で登録ユーザー数が200万を突破しています。

弥生シリーズの中で、売上や仕入、在庫管理を行う販売管理システムが「弥生販売」です。
当社には、弥生販売ユーザーから、多くのお問い合わせがあります。
その殆どが、ピッキング/出荷のスピードと精度アップを目指し、弥生販売のデータを出荷指示として連携したいという要望です。
連携するには、弥生販売がエクスポート(出力)したファイルを変換した後に、取り込みます。
ここでは、弥生販売とのデータ連携に向けた、データ変換のポイントを紹介します。

設計する前に知っておきたい基礎知識

テキストファイルでのデータ連携

弥生販売において、ユーザーが実施できるデータ連携は、テキストファイル(CSVファイル)のインポート/エクスポートです。
項目は「弥生販売 インポート/エクスポート項目一覧」にて確認できます。

在庫スイートクラウドProの項目は「在庫スイートクラウド Pro - 別紙 ファイルフォーマット」にて確認できます。
(ファイルフォーマットを合わせるための列の並び替えは必要です)

変換その1.不要行の削除

弥生販売に限らず、販売管理システムとのデータ連携では、不要行の削除が必要となります。
商品台帳に「修理代」など在庫管理が不要な商品がある場合、無駄にマスターデータ大きくなるため、連携データからは省くことが望まれます。
弥生販売の商品台帳には「在庫管理」=「行う/行わない」の項目はありますが、出力条件には用意されていません。
自分たちで削除する必要があります。

また、弥生販売の受注や売上データには、「修理代」など在庫管理が不要な商品の他に、消費税などの行も含まれます。
また、赤伝も含まれます。
弥生販売の受注や売上データを元に、出荷指示データを作成する際、これらの行は必ず削除しておく必要があります。

変換その2.並び替え

CSVファイルは各システムによって列の並び順(レイアウト)が異なります。
弥生販売がエクスポート(出力)したCSVファイルを在庫スイートクラウドがインポート(取り込み)するには、在庫スイートクラウドの規定に沿ったレイアウトに並び替える必要があります。

弥生販売と在庫スイートクラウドProデータ連携

商品台帳の連携

業務システムには台帳(マスター)と呼ばれる「基礎データ」があり、台帳をあらかじめ登録した上で利用します。
弥生販売の「商品台帳」と、在庫スイートクラウドProの「品目台帳」がアイテムに関する台帳(マスター)です。
弥生販売が上位システムとなるので、弥生販売の「商品台帳」を出力し、在庫スイートクラウドProの「品目台帳」に取り込みます。

JANコードは規格・型番にセット

弥生販売の商品台帳(商品マスター)には「JANコード」専用の項目がありません。
多くの場合、「規格・型番」項目にJANコードをセットします。
本コラムもその前提で説明します。
※規格・型番の半角桁数=20桁

商品台帳における不要行

弥生販売の商品台帳で「在庫管理」=「在庫管理を行わない」に設定されている商品(行)は不要です。
その他にも、自社の運用で倉庫への出荷指示としては扱わない商品があれば、それらも不要です。
台帳に不要なデータがあっても動作はしますが、無駄にインポート時間が長くなり、データ件数も増えます。
不要データは削除した上での連携が望まれます。

商品台帳 最初の連携と2回目以降の連携

最初は、必要な商品をすべて連携します。
件数が多いと時間もかかり、その間システムの動作が重くなる可能性があります。

その後、新商品を追加したり、商品名を変更することがあります。
その場合は、追加・変更のあった商品の台帳データだけを連携します。
在庫スイートクラウドでは、インポートされた台帳データに登録済の商品コードがあれば上書きします。

弥生販売の商品台帳のエクスポート条件には「更新日付」があります。
指定日付以降に更新された商品に絞って出力することが可能です。

項目の並び替え

商品台帳で連携すべき項目と、品目台帳に変換する際の並び替えレイアウトを紹介します。

<項目対応(マッピング)>
弥生販売
商品台帳
在SC Pro
品目台帳
1.商品コード 1.Keyコード
2.商品名 3.品目名1
4.規格・型番 31.JAN/UPCコード1
5.単位 9.単位
弥生販売の商品台帳の「規格・型番」にJANコードが設定されている前提です。

受注伝票を元にした出荷指示の連携

弥生販売の「受注伝票」を元に、在庫スイートクラウドProの「出荷指示伝票」データに変換するポイントを説明します。

受注伝票における不要行

エクスポートした受注伝票ファイルにおいて、不要な行は大きく2つあります。
ひとつが「明細区分」=「通常以外(値引、メモ、摘要など)」の行。
もうひとつが「修理代」のように、倉庫側に指示を送る必要のない商品の行です。
これらを削除しましょう。

項目の並び替え

受注伝票から出荷指示に変換する際の並び替えレイアウト例を紹介します。

<項目対応(マッピング)>
弥生販売
受注伝票
在SC Pro
出荷指示伝票
5.伝票番号 1.伝票番号(元伝票番号)
16.商品コード 53.Keyコード
18.商品名 55.品目名1
20.単位 60.単位
24.数量 59.数量
39.得意先名称 9.出荷先名
出荷指示伝票の項目番号は「出荷指示伝票」フォーマットです。

受注から売上への「払い出し」対応について

弥生販売では、受注伝票を登録後、売上伝票に払い出すことで、受注と売上(出荷)の状況を管理することができます。
(受注管理をしない場合は、受注伝票を作成する必要はありません)
但し、受注伝票から売上伝票への払い出しは弥生販売の画面操作でしか出来ません。
売上伝票のインポートでは受注伝票の払い出しはできず、受注伝票が[未納]のままとなります。
従来どおり、受注伝票から売上伝票の「払い出し」は弥生販売で行って下さい。

売上伝票を元にした出荷指示の連携

弥生販売の「受注伝票」または「売上伝票」を元に、在庫スイートクラウドProの「出荷指示伝票」データを作成し、取り込みます。
ここでは「売上伝票」の場合の説明を行います。

売上伝票における不要行

エクスポートした受注伝票ファイルにおいて、不要な行は大きく3つあります。
ひとつが「削除マーク」=「通常伝票以外(赤伝など)」の行。
もうひとつが「明細区分」=「通常以外(値引、メモ、摘要など)」の行。
最後が「修理代」のように、倉庫側に指示を送る必要のない商品の行です。
これらを削除しましょう。

項目の並び替え

売上伝票でから出荷指示に変換する際の並び替えレイアウト例を紹介します。

<項目対応(マッピング)>
弥生販売
売上伝票
在SC Pro
出荷指示伝票
5.伝票番号 1.伝票番号(元伝票番号)
16.商品コード 53.Keyコード
18.商品名 55.品目名1
20.単位 60.単位
24.数量 59.数量
40.得意先名称 9.出荷先名
・出荷指示伝票の項目番号は「出荷指示伝票」フォーマットです。
・得意先の住所情報も連携可能です。必要に応じてご利用下さい。

欠品時の対応について

弥生販売で売上登録を先に行ってから、在庫スイートクラウドProを活用し、倉庫でピッキング・出荷を行う運用です。
その際、倉庫側で欠品が発覚することがあります。
対応としては、在庫があるだけ出荷する「分納」または「未出荷」のいずれかです。
実際の対応に応じて、弥生販売の売上伝票を修正・削除します。

さいごに

システム間のデータ連携の実現するには「設計」と「実装」があります。
「設計」はそれぞれのシステムを理解した上で進める必要があるため、実装よりも難易度は高いと言えます。

設計ができれば、それを実現するツールを準備するだけ。
Excelが得意な方は、Excel VBAで開発されることもあるでしょう。
最近では、ノーコード・ローコードツール(Power Automate Desktopなど)を活用されることも増えています。
もちろん、Pytonなどのプログラミング言語で自社開発することも、外部に依頼されることも多いでしょう。

本コラムが、自社に適した連携設計のお役に立てれば幸いです。

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