在庫管理・倉庫管理(WMS)のお役立ちノウハウまとめ
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在庫管理ノウハウ集

「紙の棚卸」に疑問を持っている人が知っておくべきポイント

倉庫管理の基礎知識

実地棚卸に手を焼いている皆さん。
会社にはERPなどの基幹システムは導入されている。
でも、棚卸は昔と同じやり方で、非生産的で非効率だ!
と感じている方は多いのではないでしょうか。

我々のもとには「棚卸に時間がかかる」「棚卸が不正確だ」という企業様からの相談が多く寄せられます。
皆さん、棚卸について改善のヒントを得ようとネット検索されますが、目を引くのはICチップや重量ばかりを使った棚卸ソリューションばかり。

紙の棚卸の様子

ICチップはこの20~30年で流行期・幻滅期を経て、回復期を迎えています。
その利点と適用方法の理解が広がり、特定領域に導入されるようになりました。
・商品単価が高く、レジの無人化という大きなメリットを得られる大手アパレル
・管理アイテムが高額かつ数が限られる資産管理
逆にこうした領域以外では最適解とはいえません。
チップのコストをどう負担するのか?
チップと現物をどう貼るのか?
意図しないチップを読んでしまうのをどう防ぐのか?
こうしたデメリットが先行してしまいます。

アパレルタグ

重量ばかりに乗せるソリューションは、モノ1つに通信機能をもつ秤(はかり)が必要です。
アイテムの種類が少く、秤に乗る大きさで、決まった位置に保管するものに限られます。
・調理場の調味料の残りを把握する
・限られた備品や消耗品を管理する
といったケースには確かに向いています。
しかし、そうした在庫は企業にはそう多くありません。

商品や製品、製造部材の管理では、アイテム種も多く、量や大きさもまちまち。
「バーコード」や「QRコード」は、コストも安く、適用範囲も広く、使い勝手が良いツールです。
「バーコード」や「QRコード」が最適解となる場合が多いのです。

棚卸についてご相談を受けるケースでは、聞けば帳票に書き込んで行う昔ながらのやり方ばかり。
バーコードを使えれば解決するのに、というお話が殆どです。

今日は、とある会社の棚卸改善プロジェクトをストーリー仕立てで紹介します。
若手スタッフが従来の実地棚卸のやり方に疑問を感じ、社内提案していく様子をご覧いただけます。
御社にとっての「改善のヒント」が見つかれば幸いです。

在庫管理におけるバーコード・QRコード導入のメリット・デメリットはこちらのご確認ください。

紙の重量

プロローグ

舞台は、神奈川県にある駐車場システムなどを手がけるメーカー「株式会社ヤナギダ」。
社員数300名規模の企業です。
横須賀工場では、製品を製造するためのパーツや修理用のパーツを抱えています。
その数、約2,000アイテム種。

半期に一度の実地棚卸しでは、在庫管理を担当する業務部門だけでなく、製造部門のスタッフも参加して行います。
以前は休日出勤していましたが、働き方改革もあり、昨年から平日に行うようになりました。
その日は製造もメンテナンスもストップさせるため、何としてもその日に終わらせる必要がありました。

工場外観

後輩のグチ

入社9年目、27才の桑原さんが今回の主人公。
何事にも前向きに取り組む桑原さん。
そのガッツは評価されるものの、気持ちがツッコミすぎるとアドバイスを受けることもあります。

半期に一度の棚卸しも20時頃に終わり、ホッとする桑原さん。
工場横の寮に向かって、後輩の細川さんと歩いていました。

「桑原さん、自分の担当エリアは件数が多くて、疲れましたよ。」
「まぁ、均等に分けることは出来ないからなぁ」
「マスク付けているので、品番を読み上げるのも大変です」
「まだ暑いしなぁ」
「読み上げられた品番をリストから探しだすのって大変ですよ。似たような番号ばっかりだし目が疲れました。自分は、ああいう作業、苦手っす。筋トレやってる方が楽です。」

体格の良さを誇る細川さんらしい発言。
そんな後輩をなぐさめます。

「まぁ、みんな通った道だから。」
「今どき、紙に記入するなんて古いっすよ。自分、コンビニでバイトしたことあるんですけど、バーコードを読んで数を打ち込むだけでしたよ。うちも、あんな風にならないですかね?」

思わぬ発言にたじろぐ桑原さん。

「うちの会社、渋いからなぁ。半期に1回の棚卸しにシステム入れてくれるかなぁ。バーコードを読む機械も高そうじゃん。」

と、何とか先輩らしく切り返しましたが、

「今度、スマホが導入されるんですよね?スマホで出来ないんですかね?スマホ決済でQRコード読んでますし。」
と細川さんの話しはどんどん進みます。

話に乗っかったほうがラクだと思った桑原さん。
「確かに出来るかもな。」
「ですよね。会社に提案してくださいよー。頼みますよー。もう、嫌ですよー。」
「お、おう」
「さすが、先輩!」

かわいい後輩に頼まれて、まんざらでもない桑原くんでした。

棚卸が終わって帰るところ




コンビニでのバーコード棚卸




乗っかる桑原さん

上長への相談

とにかく動いてみる桑原くん。
まずは、ネットで「棚卸 スマートフォン」で調べてみると、いくつかシステムが出てきます。
各社のホームページを読むと、どれも「スマホで棚卸ができる」と書いてあります。
バーコードをカメラで読んでる様子が写真に掲載されており、思っていたようなシステムなようです。

そこで、桑原君は、棚卸の件を上長の石川課長に相談しました。
石川課長(34才)は1年前に課長に昇進した先輩。
頼りになる兄貴分です。

「石川課長、スマホを使って棚卸を簡単にしたいんです。そんなシステムもあるようです。」
「入力はどうやってするの?」
「部品番号をバーコードかQRコードで印刷しておいて、カメラで読みます。数はキー入力です。」

相談する桑原さん

持ってきたノートPCの画面を見せながら、
・2人1組から1人での作業に変わり、人数が半分で済むこと
・バーコードの付いていない部品には、保管容器や棚に貼ればできること
・帳票に記入された内容をPCへ入力する必要がないこと
といったメリットを説明しました。

それを聞いた石川課長。
「アイディアは良さそうだけど、会社でお金使ってやるんだから、効果を具体化しないと話しが進まないな。」
「効果の具体化ですか。」
「どの程度、人数が減るか、時間が短くなるかを数字で示せないとな。」
「分かりました。」

ちょっと不安になる桑原さんの表情を見て、石川課長がフォローします。
「逆に具体化できれば、会社は前向きに取り組むんじゃないかな。この前も、本社でDX推進チーム作ってたし。」
「DXって何ですか?」
「まぁ、難しく考えることないよ。調査する時間もある程度、確保するから、今期の個人目標にしたら?」
「ありがとうございます。」

よく分からない単語にとまどいつつ、石川課長に背中を押されて、やる気がアップした桑原さんでした。

相談を受ける課長

事務所スタッフへの聞き取り

まずは、社内マニュアルで棚卸全体の流れを改めて確認する桑原くん。
自分がタッチしていない作業も多いことが分かります。

帳票の準備や集計は、主に業務管理部門と製造部門の事務スタッフが手分けして行います。
桑原さんは、石川課長の了承を得て、業務管理部門の事務スタッフの伊藤ふうかさんに話しを聞きに行くことにしました。

「ふうかさん達がやっている棚卸表の準備や入力、集計について、具体的に教えてください。」
「棚卸はとにかく入力が大変ね。みんな疲れるって言ってるわ。」

思うところがあるようです。

「どの辺が大変ですか?」
「戻ってきた記入済みの棚卸表を見て、Excel棚卸表に入力するんだけど、1グループ500〜1000件あるから、入力だけで1時間はかかるわね。字が汚くて本人に確認してたりするともっとかかるわね」
「すみません」
「入力ミスだってあるからお互い様だよ。」

優しいふうかさんです。

「戻ってきた全ての棚卸表の入力が終われば、データを合わせてExcel上で棚卸表を完成させます。」
「やっとですね」
「まだ終わりじゃないわよ!その後、帳簿在庫と比較し、差があるものは全員で入力ミスではないかをチェックします。それでやっと、帳簿在庫と差が確定するので、それを現場スタッフに報告します。」
「やっぱり入力が大変ですね」

ふうかさん達、事務所スタッフも大変なことが分かった桑原さんでした。

棚卸結果のPC入力

ふうかさんが以前検討した改善案について聞きました。

「そういえば、現場にノートPC持ち込んでexcelに直接入力するって話があったけど、進まなかったよね。」
「はい、無理だということになりました。ノートPCを置いて運ぶのに台車がいるんです。でも、使わない時に5台近い台車を保管しておく場所がないんです。それに、ふうかさん達でも間違えがあるのに倉庫のメンバーが現場で間違えずに入力出来るとは思えないんです。入力したデータまで間違えて消しそうですし。」
「そうか〜」
「今、別の方法で現場から直接データ入力できないか検討し始めてるところです。」
「わー、今度は進めばいいね。期待してます!」

期待されて悪い気がしない桑原さんでした。

スタッフへのインタビュー

情報システム部門の意見

棚卸しの結果はERPに情報システム部門が反映させます。
普段は本社に勤務しているのですが、別件で工場に来ていたの同期の山下さん。
石川課長が話をつけてかけてくれて、ヒアリングの時間をとってもらうことになりました。

「情報システム部門としては、棚卸しはどのあたりが大変なの?」
「各拠点とのやり取りだね。全国5ヶ所あるサービスセンターもメンテナンス部品の棚卸があるから、工場含めて6ヶ所で同時にやってるから、連絡したり、結果を受けたりが多いよ。」
「どんな流れで進めるの?」
「前日夜に確定した帳簿在庫データを各拠点に送る。当日、各拠点からの結果が送られてくるので、ERPに反映させるのが大きな流れ。終わるのは21時になっちゃうね。」
「なるほど」
「各拠点の進捗状況が分からないのが不安なんだよね。全部の拠点から結果を受け取らないと終われないし。」
「確かに今日中に終わらせないといけないのに、進捗が分からないのって不安だよね」
「あまり遅いと連絡してきちゃうんだけど、向こうも忙しいだろうから聞くタイミングも難しいんだよね」

立場が違うと、課題も違うことを知った桑原さん。
逆に山下さんから質問を受けました。

「現場で棚卸する側も、色々と大変なんでしょ?」
「数える側と記入側、2人1組でやるんだけど、数える側は品番と数を読み上げて、記入側は50枚ある帳票から品番を選び出して数を記入する。だいたい5グループ、10人ぐらいでやる感じ。」
「時間はどれくらいかかるの?」
「最初は5時間ぐらいかな」
「最初?」
「記入した結果は事務所で集計して、帳簿在庫と差があった在庫が報告されてくる。それらはもう一回、確認するんだけど、それも時間がかかるんだよね?」
「それほど件数は多くないでしょ?」
「件数は多くないけど、二回目は、該当の部品を探し出すのに時間がかかるんだよ。」
「なるほどね」

その後、スマートフォンとバーコードの棚卸の構想を山下さんに伝えると

「それが出来るなら、絶対そっちがいいよ」
「おお、心強い」
「だって、棚卸の流れがこう変わるわけでしょ?」
というと、紙に書き出しました。

バーコード&スマホ棚卸効率化イメージ



情報システムの山下さん

「お~、紙への記入とPC入力と集計が、スマホ入力だけになるのが分かりやすいね」

感心する桑原さん。

「何人かでスマホに入力しても、リアルタイムに集計されるからね」

システムのことだけでなく、業務分析も得意な山下さんでした。
桑原さんはさらに山下さんに頼ります。

「具体的には、どう進めたらいいかな?」
「ホームページに無料トライアル版があるって書いてあるからやってみたら。」
「通常業務こなしながら出来るかな。。。」
「限られた場所でテストすればいいんだよ。それなら検証できるだろう。」
「うん、確かに。」

最後に山下さんが付け加えます。

「システム化の要望はユーザー部門からあげたほうが絶対いい。ぜひ、業務管理部門で稟議を回すべきだ。システムについては、こっちでサポートするから」
「ありがとう」
「バーコードを貼ったり、現場の準備は自分達でやるんだよ」
「了解!」

構想について高評価を得た桑原さん。
やる気がみなぎります。

相談に乗る情報システム部門

稟議書の作成

トライアル版での検証より、思っていたようなシステムであることが確認できました。
いよいよ稟議書の提出です。
桑原さんが、具体的な効果予想を洗い出し、それをもとに、石川課長が稟議書を書き上げました。

稟議書

ここまで来て、心配になる桑原さん。
石川課長に尋ねます。

「この内容で大丈夫ですかね?」
「稟議書としてはこんなものだろう。最後は部門長会議で突っ込みに対応できるかかだな」
「部門長会議は石川課長が出席されるんですよね?」
「そう。私もしっかり準備しないとね」

成果が問われる日が近づいてきたなと緊張してきた桑原さんでした。

部門長会議

月に一度の部門長会議。
今までは本社で行われていましたが、新型コロナの影響でリモート会議での開催となっています。
各部門長はもちろん、柳田社長、三浦工場長などの経営陣も出席します。

議題はスマートフォン棚卸の件となり、石川課長が稟議書をもとに内容を説明しました。

最初に質問があったのは、サポート部門のトップである関根さん。
いつものやさしい笑顔で質問です。

「少しお聞きしたいのですが、この仕組みは北海道や大阪のサポートセンターでも使えるんでしょうか?」
「はい、クラウドタイプのシステムですので、ユーザー数さえ足りて入れば利用可能です。」

テレビ会議

さらに関根さんの質問は続きます。

「サポートセンターは拠点が全国に散らばっていて、新しい作業を浸透させるのも骨が折れます。最初は横須賀工場でやり方を確立してもらい、それを展開したいと考えています。ユーザー数は途中から増やせますか?」
「はい、増やせます。」

無難に石川課長が回答します。

いよいよ、柳田社長からの質問です。

「別件で、工場でコラボレーションツールを使うためスマートフォンの申請が出てます。1つのスマートフォンで両方使えますか?」
「はい、アプリを入れれば両方使えます。」
「それは、実際確認していますか?」
「大丈夫です。」

山下さんが会社支給のスマートフォンで両方使えるのを確認しており、自信をもって回答する石川課長。
社長からの質問が続きます。

「月額費用と書いてあるけれど、棚卸がない月も費用が発生しますか?」
「月単位で休止/利用を設定できます。休止月は月額費用は発生しません。」

「バーコードでの棚卸が軌道に乗れば、入出庫にも使いたいという話にもなりそうですが、そうした発展性はありますか?」
「はい、上位エディションのラインナップがあり、入庫やピッキング支援も出来るとベンダーが言っていました。」

柳田社長

そんなやり取りを見た三浦工場長から
「それはいいね」
と後方支援です。
横須賀工場のスタッフが検討を重ねてきたのを知っているだけに、実施させてやりたい思いが伝わってきます。

柳田社長が最後に言いました。

「では、稟議を通しましょう。業務部が主体的に取り組み進めるように。各サポートセンター含めて効果をしっかり出して下さい!」

三浦工場長

プロローグ

「石川課長、お疲れ様でした。」

リモート会議をしていた石川課長が会議室から出てきたところを、すぐに声をかける桑原さん。

「稟議、通ったよ」

安堵の表情の石川課長が答えます。

最初は横須賀工場が取り組み、新たな運用手順を決めて社内マニュアルを作ること。
その社内マニュアルをもとに全国5カ所あるサポートセンターも新しい仕組みで棚卸を行うことを伝えました。

「自分たちが成功するだけではダメで、サポートセンターにも展開して成功させないといけないんですね。」
「そういうことだ。業務部門としてプロジェクトチームを作ろう。リーダーは桑原さんがやってくれ」

会議後

あれから2ヶ月。

スマートフォンも届きシステムも導入されました。
山下さんが部品マスターをインポートで設定し、桑原さんがシステムから部品番号や棚番号のバーコードラベルを発行。
現場への整備も終わり、いつでも棚卸ができる環境となっています。

社内マニュアルは桑原さんが作ったのですが、現場作業は未経験のふうかさんに読んでもらうと、分かりづらい箇所があるという意見でした。
石川課長のアイディアで、ふうかさん自身が社内マニュアルを修正したところ、誰でも分かるマニュアルになったと評判です。
サポートセンターへの展開の際も、このマニュアルがきっと活躍することでしょう。

バーコードを整備

2週間後に迫った棚卸の本番。
棚卸メンバーに、マニュアルを使いながらレクチャーしている桑原さん。

「これ、元々は俺が言い出したんだぜ!」

棚卸メンバーに選ばれ、嬉しそうにスマートフォンを触りながら、同僚に自慢する細川さん。

「でも、進めてくれたのは桑原さん達だけどな」

と先輩達へのフォローも忘れません。
少し恥ずかしくもあり、誇らしくもある桑原さんでした。

メンバーに選ばれて嬉しい細川さん

まとめ

いかがでしたでしょうか。
案外スムーズに進みましたね。
今回は棚卸だけのシステム化だったので、リスクの低い導入方法です。
初めてのバーコード導入では、棚卸から進めるケースが多いのもうなずけます。

クラウド型バーコード棚卸システムなら、記入・入力・集計・帳簿在庫との比較が不要。
紙の棚卸しと比べて、人が介在する部分が圧倒的に少なく、迅速かつ正確に終わります。

アイテムにバーコードが付いてなくても、棚や保管容器に付けることでバーコード棚卸が可能。
低コストかつ適用範囲の広い方法です。
在庫管理におけるバーコード・QRコード導入のメリット・デメリットを詳しく知りたい方はこちらのご確認ください。

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・バーコード/QRコードラベル発行
・ハンディターミナルやスマートフォン(iOS/Android)での入力
・リアルタイムな集計
・帳簿在庫との比較
・入力した人や場所の確認
といった、スムーズなバーコード棚卸をオールインワインで提供します。

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