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発注点管理だけでは欠品を防げない理由
製造業や卸売業の在庫管理では、「発注点管理」が広く利用されています。
現在庫数があらかじめ設定した発注点を下回ったら発注する、というシンプルな管理方法です。
発注点管理は、運用しやすく、Excelでも管理しやすいため、多くの企業で採用されています。特に、需要が安定している部材や消耗品では、今でも非常に有効な方法です。
しかし一方で、発注点管理をしているにもかかわらず、欠品が発生してしまうケースも少なくありません。
なぜでしょうか。
この記事では、発注点管理のメリットと限界を整理しながら、「未来の不足タイミング」を把握する重要性について解説します。
発注点管理は、今でも有効な在庫管理方法
発注点管理とは、現在庫数と発注点を比較し、在庫が一定数量を下回ったら発注を行う管理方法です。
発注点は一般的に、
- 過去の使用ペース
- 発注リードタイム
- 安全在庫(マージン)
などをもとに設定されます。
例えば、
- 毎日安定して使用する部材
- 比較的安価な消耗品
- 賞味期限や陳腐化リスクが低い在庫
などでは、非常に相性の良い管理方法です。
また、Excelでも管理しやすいため、多くの企業で現在も利用されています。
特に、修理部品のように将来需要を予測しづらい在庫では、過去実績をもとにした発注点管理が現実的な選択肢になります。

入出荷予定を加味した「有効在庫」での発注点管理
一方で、製造業では、現在庫だけではなく、将来の入出荷予定も加味した管理を行いたいケースがあります。
例えば、
- 発注済みの入荷予定
- 生産計画に基づく出庫予定
- 出荷指示
などです。
この場合、単純な現在庫ではなく、
「現在庫 + 入荷予定残 – 出荷指示残」
という考え方で在庫を管理します。
これを「有効在庫」と呼ぶことがあります。
有効在庫を使った発注点管理には、大きなメリットがあります。
発注済み在庫を考慮できる
例えば、すでに発注済みの部材があるにもかかわらず、現在庫だけを見ていると、再度発注してしまうことがあります。
しかし、有効在庫で管理すれば、入荷予定が加味されるため、多重発注ミスを防ぎやすくなります。
これは、製造業の部材管理では非常に重要なポイントです。
将来の不足を事前に把握しやすい
現在庫だけでは十分に見えていても、将来の出荷指示を加味すると、近いうちに発注点割れするケースがあります。
有効在庫を使えば、
- 将来的に発注点割れする品目
- 将来的に在庫不足となる品目
を早めに把握しやすくなります。

それでも、「いつ不足するか」は分かりにくい
ただし、有効在庫による発注点管理にも限界があります。
それは、「不足しそう」ということは分かっても、「いつ不足するか」までは分かりにくい点です。
例えば、発注点割れしている品目が複数あった場合、
- 今日にも不足するのか
- 来週不足するのか
- 来月不足するのか
では、緊急度が大きく異なります。
しかし、発注点割れ一覧だけでは、その優先順位を判断しづらいケースがあります。
また、
- 出荷予定の前倒し
- 入荷遅延
- 急な追加注文
などが発生すると、状況はさらに変化します。
結果として、発注判断が担当者の経験や勘に依存しやすくなります。

発注タイミングを判断するには、「未来在庫」の考え方が重要
そこで重要になるのが、「未来在庫」の考え方です。
未来在庫とは、現在庫だけではなく、未来の入出荷予定も加味しながら、将来の在庫推移を確認する考え方です。
例えば、
- 将来的な在庫不足に早めに気づく
- 在庫余力の少ない品目を把握する
- 発注タイミングを判断しやすくする
といった用途に活用できます。
特に製造業では、1つの製品に多数の部材を使用するケースが多くあります。
また、複数の製品で共通部材を使用していることも少なくありません。
そのため、1つの部材不足が複数の生産計画へ影響する可能性があります。
だからこそ、「不足してから対応する」のではなく、「不足しそうな品目を早めに見つける」ことが重要になります。
発注点管理だけでは判断しづらかった優先順位も、未来在庫を確認することで整理しやすくなります。

MRPほど大掛かりでなくても、未来在庫は見える化できる
未来在庫というと、MRP(資材所要量計画)のような大掛かりな仕組みを想像するかもしれません。
しかし実際には、まずは数量ベースで、
- 現在庫
- 入荷予定
- 出荷予定
を組み合わせるだけでも、大きな効果があります。
特に、
- Excel管理に限界を感じている
- 発注判断が属人化している
- 欠品を減らしたい
という企業では、未来在庫の見える化によって、発注業務を改善できる可能性があります。
まとめ
発注点管理は、今でも非常に有効な在庫管理方法です。
特に、需要が安定している在庫では、シンプルで運用しやすいという大きなメリットがあります。
また、入出荷予定を加味した「有効在庫」で管理することで、多重発注防止や将来不足の把握もしやすくなります。
しかし、「不足しそう」という情報だけでは、発注タイミングや緊急度を判断しづらいケースがあります。
そのため、今後は「発注点割れを見る」だけではなく、「将来いつ不足するか」を把握しながら管理していくことが、より重要になっていくでしょう。