スマートフォンを在庫管理でハンディターミナルの様に使うには

2025年11月27日更新

1 はじめに
2 スマートフォンとハンディターミナルの違い（ 7つの比較ポイント）
3 スマートフォンを導入する際の検証ポイント
4 スマホ＋Bluetoothバーコードスキャナーの注意点と検証ポイント
5 導入判断のポイント
6 「スマホ＋ハンディ混在運用」が可能なクラウド在庫管理システム

はじめに

「ハンディターミナルは高いので、スマホ(iOS/Android)で在庫管理をやりたい」
当社にはこうしたお客様から、多くのお問い合わせがあります。

我々が提供するクラウド在庫管理システム/倉庫管理システム（WMS）は、全国2,146拠点を超える現場にご導入頂いております。
当社の在庫管理システムにおいても、2020年以降はスマホ利用率は急速に増加しています。

以前は「スマホはハンディターミナルの代用が出来るのか？」という質問が多かったのですが、ここまで普及が進むと出来ることは周知の事実。

しかし、「スマートフォン＝ハンディターミナルと完全に同じ性能」ではありません。
誤解したまま導入を進めると、次のようなトラブルが起こります

iPhone11で読めたバーコードが、iPhone8で読めなかった
倉庫の奥や夜間になると読取り精度が低下した
Bluetoothバーコードスキャナーとの組み合わせでデータ欠けが発生した

ハンディターミナルとスマホ（iOS/Android）、どちらも同じように利用できるシステムは少なく、
情報が少ないため、適切な検証を行わずに導入を進めて、トラブルになることもあります。

本コラムでは、「スマートフォン」「ハンディターミナル」の違いと選定ポイント を紹介します。
自社に適した在庫管理システム導入の一助になれば幸いです。

スマートフォンとハンディターミナルの違い（ 7つの比較ポイント）

「在庫管理のために、現場でバーコードやQRコードを読むデバイス」という観点より、スマホとハンディターミナルの違いを７つ、紹介します。
なお、スマホもハンディターミナルも様々なメーカーや機種があります。
ここでの説明は、一般論とご理解ください。
また、比較するハンディターミナルはAndroidを搭載した最新機種を想定しています。

１．価格

スマホの場合、安い機種なら数万円。
既に支給されていれば、コストは発生しません。
ハンディターミナルは専用機のため、高額な端末が多いです。

２．バーコード／QRコードの読み取り性能

ハンディターミナルは専用モジュールを搭載しており、読み取りが優れています。
スマホはJANやQRコードといった一般的なバーコードは読みますが、以下の様な劣る部分があります。

読み取りボタンはソフトキー（専用ボタンがない）
赤い照射光が出ず、カメラ越しに位置を合わせる
横に長いバーコードは苦手
未対応のバーコード種がある（GS1-Databarなど）
暗い場所が苦手
難読バーコード（汚れ、カスレ）が苦手
機種によって読取り性能にばらつきがある

３．テンキーの有無

ハンディターミナルには、テンキー付き／無しの２タイプがあります。
在庫管理ではテンキー付きが好まれる傾向があり、「テンキーが絶対に必要」という場合は、ハンディターミナル一択となります。

ハンディターミナル・スマートフォン（iOS・Android）でバーコード読み取り

４．他アプリの利用

テンキー付きのハンディターミナルだと、画面は大きくて4インチ。
スマホの大画面化が進んだ今、3.5インチや4インチの画面では一般的なアプリは使いづらいと感じる人も多いでしょう。
また、ハンディターミナルはAndroidでもGMS（GoogleMobileService）非対応の場合があり、その場合は一般的なアプリは使えません。

５．安定性（アップデートの制御）

業務機であるハンディターミナルは、企業向けのためアップデートを制御できます。
スマホは、OSやファームウェアが自動アップデートされることがあります。
当社実績では、アップデートに伴うトラブルは少ないのですが、やはり不安要因です。
安定性を求めるならハンディターミナルのほうが優れていると言えます。
（法人用スマホだとアップデートを制御できるものもあります）

６．軽さ

読み取りモジュールを搭載するハンディターミナルは、スマホに比べ50～100g 程度重くなります。
多くの現場では問題になりませんが、女性の方が多い現場では重量を問題視されることがあります。

７．堅牢性

「ハンディターミナルのほうが堅牢性に優れている」と言われますが、スマホの堅牢性も高くなっており、今では違いを感じません。