在庫管理・倉庫管理(WMS)のお役立ちノウハウまとめ
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在庫管理ノウハウ集

在庫管理システム導入プロジェクトの目標設定と効果測定

はじめに

我々は、クラウド在庫管理システム「在庫スイートクラウド」を提供しています。
在庫管理システムの導入は会社として費用と一時的な労力がかかる、大きなプロジェクトです。
このプロジェクトを成功させるには、改善したい課題と、達成したい目標を明確にし、定量化することが重要です。

定量的な効果測定は、PDCA(計画・実行・評価・改善)を回すことができ、改善・向上につながります。
一方で、在庫管理には定性的な課題もあり、目標が設定しづらいとご相談を受けることも多くあります。
今回は在庫管理システム導入に向け、課題別に定量的な目標設定のポイントをご紹介します。

目標設定から効果測定の4つのステップ

STEP1.課題の洗い出し

会社として、システム導入に至った、課題の洗い出しを行います。
課題は複数あっても構いません。

STEP2.課題の数値化

各課題に対して、現在の状況を定量的に把握します。
効果を比較しやすいよう、数値化することが重要です。

STEP3.導入後の目標を設定

システム導入後の目標を設定します。
定量化した課題に対して、どれくらいの改善をゴールにするかを決めます。

STEP4.効果の測定

どのタイミングで効果測定を実施するかは企業によって異なりますが、導入から3ヶ月目、6か月目、1年後と定期的に効果を数値化し、測定していきます。
想定していた効果が出ていない場合、改善に至っていない場合は、運用の見直しが必要です。

「課題の数値化」と「目標の設定」例

実際に課題を洗い出したものの、数値化しづらい課題もあります。
課題をどのように数値化させれば良いか、目標はどう設定すべきか、具体例を出してご紹介します。

〈 課題例 〉

  1. 棚卸の差異が多い
  2. 棚卸にかかる時間、工数が多い
  3. 誤出荷が多い
  4. 出荷の作業が複雑で時間がかかる
  5. ベテラン社員に属人化している(1)
  6. ベテラン社員に属人化している(2)
  7. 在庫の問い合わせ対応に時間がかかる
  8. 発注点割れ品目の確認に時間がかかる
  9. 廃棄ロスが多い

課題1:棚卸の差異が多い

棚卸の差異を「割合(%)」や「金額」で算出します。
全品目に対し差異のある品目の差異率、品目ごとの平均差異率、全体の差異合計金額(絶対値の合計)を確認します。

現在 目標例
差異のある品目は全体の17%品目ごとの差異率は平均7%差異合計金額は全体の15% 差異のある品目は7%以下品目ごとの差異率は平均2%以下全体の差異合計金額は10%以下

課題2:棚卸にかかる時間、工数が多い

現在 目標例
15名×8時間=120時間
▼内訳
15名体制で1日(8時間)
10名×4時間=40時間
▼内訳
10名体制で4時間

課題3:誤出荷が多い

1ヶ月の出荷件数に対して、誤出荷の件数を確認し、誤出荷率を算出します。

現在 目標例
誤出荷率は約0.5%
▼内訳
月3500件の出荷に対して、誤出荷(ロット違い含む)は18件前後。
誤出荷率0.01%以下

課題4:出荷の作業が複雑で時間がかかる

1ヶ月の出荷件数と作業人数、作業合計時間数を算出します。

現在 目標例
1440時間/月
▼内訳
月3500件の出荷に対して、6名体制×8時間/日×30日。
960時間/月
▼内訳
月3500件の出荷に対して、4名体制×8時間/日×30日。

課題5:ベテラン社員に属人化している(1)

1ヶ月の入出荷の体制を「ベテラン社員」と「他の社員(アルバイト含む)」の割合で算出します。

現在 目標例
「ベテラン社員」83%と「他の社員(アルバイト含む)」17%
▼内訳
6人体制(正社員5人、パート1人)
「ベテラン社員」25%と「他の社員(アルバイト含む)」75%
▼内訳
6人体制(正社員1人、パート5人)

課題6:ベテラン社員に属人化している(2)

入出荷作業を行える人の人数を確認します。(システム導入により、作業が標準化され、誰でも作業が可能になるため)

現在 目標例
6人
▼内訳
正社員5人、パート1人
15人
▼内訳
正社員5人、パート5人、繁忙期の他部署からのヘルプ5人

課題7:在庫の問い合わせ対応に時間がかかる

倉庫部門が1ヶ月あたり、在庫の問い合わせ対応にかかる合計時間数を算出します。

現在 目標例
12時間30分/月
▼内訳
15回/月×現物の確認20分/回×メール・電話の対応10分/回。
0分/月
▼内訳
社内間は誰でも在庫スイートクラウドで在庫を確認でき、問い合わせがなくなる。

課題8:発注点割れ品目の確認に時間がかかる

1ヶ月あたりの発注点割れ品目の在庫確認にかかる合計時間数を算出します。

現在 目標例
20時間/月
▼内訳
4回/月×2人体制×(在庫の確認120分/回+リスト作成30分/回)
1時間/月
▼内訳
30回/月×1人体制×(在庫データ確認1分/回+リスト発行1分/回)

課題9:廃棄ロスが多い

1ヶ月あたりの廃棄するアイテムごとの数量、単価で金額を算出する。

現在 目標例
161,420円/月
▼内訳
廃棄アイテムの金額×数量
(4,020円×18個、3,500円×10個、 2,310円×13個、890円×27個)
53,000円/月 以下
(1/3以下へ)

このように、課題を数値化することで、目標が立てやすくなり、効果も確認しやすくなります。
システム導入前と比較し、効果を定量的に測定することで、オペレーションを見直す判断基準にもなります。

まとめ

在庫管理システムの導入に向けプロジェクトの目標設定、効果測定のイメージはできたでしょうか?
目標に対する効果を定量的に測定し、PDCA(計画・実行・効果測定・改善)を回すことで、より自社にあった運用に改善していくことが大切です

在庫スイートクラウドを導入されたユーザー様からも、導入前と比べどれくらい効果があったかをご報告いただいています。

  • 「棚卸にかかる時間が導入前と比べ1/5になった」
  • 「棚卸の差異が0になった」
  • 「月30~40件ほどあった誤出荷が月1件前後になった」
  • 「出荷精度が10万回に1回しかミスのない精度になった」

われわれインフュージョンは、導入されたユーザー様の目標設定から効果測定まで、伴走サポートいたします。
運用が軌道にのるよう定期的に過去の導入実績から、情報提供やアドバイスもさせていただきます。
導入時のご不明点やご不安なことは、お気軽にご相談ください。
クラウド在庫管理システム/倉庫管理システム(WMS)「在庫スイートクラウド」に関しては、以下の「在庫スイートクラウド」をクリックし、製品ページをご覧ください