在庫管理・倉庫管理(WMS)のお役立ちノウハウまとめ
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在庫管理ノウハウ集

バックオーダー品を入荷後すぐ出荷するために確認すべき5つのポイント

在庫を上手く回転させることは企業にとって非常に重要です。
特に「バックオーダー」と呼ばれる入荷を待っている注文があれは、入荷すればすぐに出荷したいもの。
顧客満足の向上やキャンセルの防止にもつながります。

在庫を持たず、注文が入ってから発注する「受注発注品」なら、受注=バックオーダーです。
受注発注品が多いほど、入荷から出荷までのスピードアップが大切になります。

入荷から出荷までは大きく分けて5工程。
今日は、各工程の内容とスピードアップのポイントを紹介していきます。

工程1.荷受け(倉庫)

まず最初は倉庫での「荷受け」です。
「荷受け」とは、仕入先から届けられる商品と納品書とを確認し、納品書の通り商品があるかチェックすること。
チェックのことを「検収」とも呼びます。

チェックの基本は目視であり、商品知識が求められる作業。
バイト・派遣の方も多い倉庫業務ですが、荷受け時の検収は社員で対応することが多いはずです。

入荷検収の報告は、ペンでチェックを入れた納品書を渡すといったアナログなやり方もあれば、商品バーコードを読み取ることで入荷実績データを作成し引き渡すこともあります。

仕入先から事前出荷通知 (ASN、Advanced Shipping Noticeの略) データが来れば、商品バーコードとシステム照合しながら入荷実績を作成できます。
こう説明すると、よく出るご要望が
「事前出荷通知は来ないので発注データを入荷予定として扱い、照合しながら入荷実績を作成したい。」
というもの。
発注と照らし合わせながら倉庫での入荷検品ができれば、次工程の仕入登録が楽になりますし、ミス防止にも繋がります。

しかし、これを実現するには「倉庫側でどの発注分の入荷なのかがすぐに分かること」が必要です。
具体的には、

  • 分納や欠品はなく発注単位でモノが入荷され、倉庫側でもどの発注分の入荷なのかが分かりやすい。
  • モノに商品バーコード+発注番号が記載され、バーコードやQRコード化もされている。
    (自動車業界の現品票やカンバンなど)

といったケースです。
こうした場合は、倉庫での荷受けで発注と照合しながら入荷実績を作成することができます。

逆に難しいのが、

  • 分納や欠品があり発注通りに入荷されてこない。
  • 納品書に発注番号の記載もなく、バーコード化もされていない。
  • 自社都合や仕入先都合の発注キャンセルが度々ある。

といったケースです。
こうした場合、倉庫側では発注と入荷を紐付けるには無理があります。
それが出来るのは、仕入れ先と発注や欠品連絡のやり取りをしている仕入部門のはず。
倉庫側が行うのは「仕入先からの納品書通りに商品が入荷されたことの確認」とし、発注と入荷の紐付けは発注部門が次工程の仕入処理で行うべきです。

ポイントその1
倉庫側での荷受け検収時に発注と紐付られるか確認しよう。
但し、負担が大きいようなら無理にするのは禁物。

工程2.仕入処理(基幹システム)

次の工程は、倉庫側からの入荷報告を受けて、基幹システムへ仕入登録することです。
仕入登録することで新たな在庫が計上され、注文残のオーダーが出荷可能となります。

登録方法は大きく2つ。
キーボード入力か、入荷実績ファイルによる一括登録です。
もちろん、入荷実績ファイルによる一括登録が早いのは言うまでもありません。
但し、この場合も実現できる条件があります。
条件はシステムによって異なりますが、多いのは以下のようなものです。

「入荷実績データ内に対応する発注番号や明細番号が入っていること」

基幹システム内でも発注と仕入を紐付て管理するため、こうした仕様が多いのです。
荷受け工程で発注との紐付ができれば、仕入処理がスピーディーになるのがお分かり頂けたことでしょう。

発注と仕入(入荷)の紐付は、荷受けまたは仕入処理のいずれかで行う必要がありますが

  • 仕入先から事前出荷通知がない
  • 発注番号が分からない
  • 分納やキャンセルがある

といった状況だと、倉庫で行うのは適切ではないことは先述しました。

状況を改善するために、各仕入先に対し

  • 事前出荷通知をもらえないか。
  • 納品書に発注番号を印字して貰えないか。(出来ればバーコードも)

といった交渉を個別にする場合もあります。

ただ仕入先によって、対応が難しい場合も多いはず。
その際は、仕入担当者が発注と入荷を紐付ながらキーボード入力で仕入処理を行いましょう。
時間短縮は、入荷報告を受けてから仕入処理を始めるまでタイムラグ削減を検討してみてください。

ポイントその2
倉庫側から発注番号や明細番号と紐ずく入荷実績データがくるなら、
データ取り込みで基幹システムの仕入処理ができないか確認しよう!
難しい場合は仕入処理を始めるまでの時間短縮を検討しよう!

工程3.入庫(倉庫)

倉庫側は、荷受けと入荷報告が終わると、商品を棚やしかるべき場所に入庫(移動)します。
こう説明すると「すぐに出荷するのだから入庫したくない」という要望をよくお聞きします。

確かに受注発注品であれば必ずバックオーダーではありますが、一緒にオーダーされた商品が未入荷ならばすぐには出荷されません。
また、商品が荷受け場に平積みされた状態だと、ピッキングする際商品を探し回ることとなり混乱します。
荷受け場の近くに棚を用意し、すぐに出荷される可能性が高い商品はそちらに入庫するといった時間短縮は検討しつつ、入庫という工程は入れるべきです。

WMS(倉庫管理システム)が導入されている場合は、ロケーションバーコードと商品バーコードを読み取り、入庫した結果をWMSに反映します。

また、基幹システムの仕入や在庫引当処理の間に倉庫側の入庫処理が終わっていないと、出荷作業が開始できません。
特にバックオーダー品はすぐに出荷される可能性が高いため急がれます。
入庫がボトルネックとならないよう荷受けが終わればすぐに入庫しましょう。

ポイントその3
入荷場のまま平積みされている商品をピッキングするのは混乱のもと。
ボトルネックとならないよう荷受けが終わればすぐに入庫しよう!

工程4.在庫引当処理(基幹システム/WMS)

ここからは出荷に向けた工程となります。
効率化やスピードアップが求められるのは、バックオーダー品でも在庫品でも同じです。

まずは、在庫引当処理。
在庫引当とは、在庫をどのオーダーに割り当てるかを決めて、在庫に予約を入れる処理です。
この処理も通常は基幹システムが行います。
WMSが導入されていれば、基幹システムの在庫引当結果を受け取り、WMSでもロケーション在庫引当を行います。
基幹システムに在庫引当機能がない場合は、WMSの在庫引当機能だけで業務を回されてるケースもあります。

在庫引当ルールはどのオーダーにどの在庫を引き当てるのかを定めたルールであり、出荷優先ルールです。
BtoBの場合は企業同士の取り決めで細かいルールが存在することもありますが、ECの場合はおおよそ「注文順」または「出荷可能順」のいずれかです。

注文順は、古い注文から優先して在庫を引き当てます。
メリットは出荷予定日が回答しやすいこと。
デメリットは在庫回転率が落ちることです。

出荷可能順は、オーダーしたすべての商品が揃って出荷可能になったオーダーから在庫を引き当てます。
メリットは在庫回転率が上がること。
デメリットは出荷予定日が回答しづらいこと。

いずれにしても、在庫引当がシステム化されずに、EXCELや帳票などアナログなやり方で行っていれば、出荷件数が増えるほど時間が掛かります。
入荷から出荷までの時間短縮を図るのであれば、システムによる在庫の自動引当はぜひ実現したいものです。

ポイントその4
基幹システムやWMS(倉庫管理システム)で在庫引当の自動化ができないか検討しよう!

工程5.出庫・出荷(倉庫)

最後は出庫・出荷作業です。
ピッキングや出荷検品、梱包、配送引き渡しといった作業に分かれます。
倉庫の保管ルールとしても固定ロケーションやフリーロケーションがあり、ロケーション運用によってピッキングのやり方も変わってきます。
出庫・出荷作業のスピードアップについてはテーマとしても範囲が広く、今回のテーマであるバックオーダー品が入荷した際の出荷に限った話でもありません。
それぞれについて説明しているページがあるのでここでは割愛します。

言えることは、出荷件数が増えたり、アイテムが多く倉庫も広いとWMSを導入しシステム化したほうが時間短縮に繋がるということ。
もし、アナログに頼るため自動処理が進まず出荷に時間がかかっているようであれば、WMSによる作業のシステム化を検討してみて下さい。

ポイントその5
アナログなやり方で出庫・出荷に時間がかかるなら
WMS(倉庫管理システム)を活用した時短を検討しよう!

まとめ

入荷から出荷までの工程フロー図


最後に、工程フロー図を示しつつ、バックオーダー品をすぐに出荷するための各工程でのポイントをおさらいします。

  1. 荷受け
    1. 仕入先からの納品書通りに商品が入荷されたことの確認は必須。
    2. 発注と紐づく入荷報告をすれば仕入処理のスピードアップにつながる。
    3. 但し、条件が揃っていないと荷受けがかなり遅くなるので無理は禁物。
  2. 仕入処理
    1. 発注と紐づく入荷実績データが来ればデータ取り込みで一括処理できないかを確認。
    2. 来ない場合は仕入処理を始めるまでのタイムラグ削減を検討。
  3. 入庫
    1. 出庫が入庫待ちで止まらないよう、荷受けが終わればすぐに行う。
    2. バックオーダー品は荷受け場近くに入庫するなど工夫も大切。
  4. 在庫引当
    1. 件数が増えるほど、人やアナログでの在庫引当は遅延のもと。
    2. そんな場合は、基幹システムやWMSでの自動処理を検討。
  5. 出庫・出荷
    1. アナログなやり方で時間がかかっているなら
    2. WMS(倉庫管理システム)の活用による作業時間の短縮を検討。

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