倉庫管理(実在庫管理)システムにおける「セット品と構成品」の在庫管理
目次
はじめに
今回は、質問の多いセット品の管理・運用方法についてご紹介します。
セット品は、
・資産管理の意味合いが強い基幹システム
・正確かつスピーディーな入出庫・保管を目的とした実在庫管理・倉庫管理システム
では、考慮すべき点が違い、管理・運用方法も異なります。
本コラムではそれぞれの対応の違いや、当社の実在庫管理・倉庫管理システム「在庫スイートクラウドPro」におけるセット品機能を例に紹介します。
セット品と2通りの運用方法
セット品とは複数の構成品を組み合わせて1つのアイテムとするものです。
ギフトセットなどは典型的なセット品です。
<父の日 ワイン・チーズセット>
・ワインA 1本
・ワインB 1本
・チーズC 2個
この例の場合「ワインA」「ワインB」「チーズC」は構成品、「父の日 ワイン・チーズセット」はセット品です。
構成品の単位で入荷され、ユーザーからはセット品で注文されます。
セット品の対応方法は大きく2通りに分かれます。
それぞれ特徴があり、商品や出荷の特性により向き・不向きがあります。
(1)セット品の在庫を持つ運用
以下の様な現場に向いているのが、セット品の在庫を持つ運用です。
<適したケース>
・セット組作業に時間がかかり、在庫をしておかないと出荷が間に合わない
・構成品単体では販売しない
・特定の構成品は決まったセット品にのみ使われる
(2)受注後にセット組する運用
以下の様な現場に向いているのが、受注後にセット組する運用です。
受注を受けてから構成品をピッキングし、セット組後、出荷します。
<適したケース>
・セット組作業にそれほど時間がかからない
・構成品単体でも販売される
・同じ構成品でも、様々なセット品で使われる
基幹システムと実在庫管理システムの要件の違い
基幹システムと実在庫管理システムである在庫スイートクラウドは、セット品における要件が違うため、管理・運用方法も異なります。
基幹システムでも在庫スイートクラウドでも、あらかじめセット品台帳を登録しておくことは共通です。
セット品台帳には、1つのセット品を作るための構成品の種類と数を設定します。
基幹システムの要件
基幹システムでは、セット品台帳を使い、セット品の数量を指定するとセット組を反映します。
具体的には、セット品とセット数を指定すると、構成品を必要数引き落として、セット品を計上します。
データ上は、瞬間に在庫が振り替えられます。
棚卸資産の管理=会計面での在庫管理として必要となるのは
・何がいくつあるのか
・いつ、いくつ、いくらで購入したのか
といった情報です。
セット組の管理としては、在庫数の差し引きだけで問題ありません。
実在庫管理システムの要件
実在庫管理・倉庫管理システムである在庫スイートクラウドは、
スペースを有効活用するためのフリーロケーション運用や、ロット(使用期限)情報を活用した先入れ先出し運用にも対応する仕組みです。
・どのロケーションから出庫したのか?
・どの賞味期限の在庫を使ったのか?
を反映する必要があります。
また、ピッキングの際も、指示とアイテムのバーコードを照合し誤出庫を防ぎたいとういニーズもあります。
その為、基幹システムのように瞬時に在庫を振り返るようなことはせず、出庫は出庫、入庫は入庫と分けて運用します。
実在庫管理システムで構成品のピッキングを支援する機能
セット品台帳を活用し、構成品のピッキング指示を簡単に作成できる機能が在庫スイートクラウドにはあります。
ピッキング指示への入力方法は2通りです。
(1)キー入力での自動展開
PC入力では、セット品を指定すると、構成品に自動展開することが可能です。
特に、「セット品の在庫を持つ運用」でセット組に向けた構成品のピッキング指示登録で用いられます。
セット組は受注に応じた作業ではなく、元となるデータがないため、キー入力での登録が多く見られます。
(2)ファイルインポートやAPI連携での自動展開
CSVファイルの取り込みやAPI連携でも、設定によりセット品を構成品に自動展開することが可能です。
特に、「受注後にセット組する運用」での出荷指示登録で用いられます。
セット品の受注に応じてセット組をするため、元となるデータ=受注データです。
受注データを出荷指示として登録し、データ内にセット品があれば、構成品レベルに自動展開して登録されます。
充実の情報提供とサポート体制の在庫管理システム
今回はセット品の在庫管理に対して
・2つの運用方法とその特徴
・基幹システムと実在庫管理・倉庫管理システムでの要件の違い
・「在庫スイートクラウドPro」における構成品のピッキング支援機能
を紹介しました。
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大学卒業後、ハンディターミナルメーカーでプロジェクトマネージャーとして従事。2001年インフュージョンを設立。2003年よりパッケージ化したバーコード在庫管理システムを提供開始。2014年にクラウド/SaaS化した「在庫スイートクラウド」をリリースし、1,855拠点以上に導入されるサービスに成長。20年以上の経験と専門知識を活かし、コンサルティングを行っている。
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