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在庫管理ノウハウ集

CSV連携で失敗しない!弥生販売×在庫スイートクラウドPro 実践ガイド

システム基礎知識

在庫管理の精度と効率を高めるために、「弥生販売」と実在庫管理システム「在庫スイートクラウドPro」のデータ連携を検討している方へ。

とくに多く寄せられているのが、ピッキングや出荷のスピード・精度を向上させるため、弥生販売で作成した販売情報を倉庫側=在庫スイートクラウドの「出荷指示」に連携したいというご要望です。

販売データをCSVでスムーズに取り込み、現場の出荷作業と確実に結びつけることで、手入力によるミスを防ぎ、作業効率を大幅に向上させることが可能です。

本記事では、CSV連携で失敗しないための設計ポイントと、インポートマッピング機能を活用した設定手順を、わかりやすく解説します。初めての方でも安心して設定できるよう、実例を交えながら丁寧にご紹介しています。

本記事では「弥生販売」との連携を例に紹介していますが、他の販売管理システムでもCSV出力が可能であれば、同じような手順・考え方で連携が可能です。

知っておきたい基礎知識

両システムの項目確認

弥生販売において、ユーザーが実施できるデータ連携は、CSVファイルのインポート/エクスポートです。項目は「弥生販売 インポート/エクスポート項目一覧」にて確認できます。

在庫スイートクラウドProの項目は「CSVインポートマッピングマニュアル」の以下のページで確認できます。
項目ID一覧(品目台帳)
項目ID一覧(出荷指示伝票)

今回紐づける項目は、取込先である在庫スイートクラウドの最大桁数の方がすべて大きいため、桁数の調整は不要です。

データ連携における行抽出の必要性

弥生販売に限らず、販売管理システムとのデータ連携では、必要行の抽出(不要行の削除)が必要となることが多くあります。

弥生販売の商品台帳では、ファイル出力の条件指定には限界があります。在庫管理が必要なアイテムに絞って出力することができません。必要な商品を抽出し、取り込む必要があります。

弥生販売の販売データでは、赤伝も含まれますし、通常の伝票でも消費税の行が含まれます。出荷指示データとして取り込む際も、必要な行だけを抽出する必要があるのです。

データ連携での項目マッピングの必要性

CSVファイルはカンマ区切りで並んでいるシンプルなデータです。2つのシステムの項目を紐づける(項目マッピング)必要があります。

また、複数の項目(列)を結合したものを紐づけたり、前後のスペースを除去してから紐づけたりと、複雑な項目変換が必要になることもあります。

在庫スイートクラウドは柔軟なインポートが可能

在庫スイートクラウドはインポートマッピング機能を搭載。
Excelの演算子や論理式をベースとした書式で「行の抽出」と「項目マッピング」を設定でき、柔軟なファイル連携が可能です。
多くの方が使い慣れたExcelライクな書式で、学習コストも抑えられます。

弥生販売との連携における課題と対処

ここでは、弥生販売の売上伝票データを出荷指示として連携する際に課題となる2つのポイントを紹介します。

弥生販売でのJANコードの扱い

※JANコードの利用がなければ本内容は読み飛ばしてください。
弥生販売では商品台帳に「JANコード」の専用項目がありません。
現場ではJANコードを扱いたいけれど、弥生販売の「商品コード」の内容が社内コード(社内商品コード/社内品番)の場合、JANコードをどの項目にセットしておくかがポイントとなります。

JANコードは在庫スイートクラウド側だけで管理するという考え方もあります。その場合は、商品台帳を取り込んだ後に、JANコードだけを追加で取り込みます。
弥生販売に影響が出ない点はメリットですが、ユーザーは、JANコード追加用のデータをEXCEL等で別管理する必要がありますし、取り込み操作も増えます。

弥生販売の商品台帳にJANコードをセットする場合は「規格・型番(最大20桁)」を用いるのが一般的です。本コラムでは、弥生販売の商品台帳「規格・型番」にJANコードをセットしている前提で話しを進めます。

弥生販売とJANコードの連携

連携すべき商品の判定

弥生販売は売上管理を行うシステムです。商品台帳や売上伝票には、現物在庫がある商品のほかに「修理代」「訪問サービス費用」「配送費用」といった、売上はあるけれど在庫としては存在しない商品やサービスも含まれる可能性があります。実在庫の入出庫オペレーションを支援する当社システムと連携する際は、それらを除外する必要があります。

弥生販売の商品台帳には「在庫管理を行う/行わない」項目がありますが、売上伝票では出力されません。商品台帳と売上伝票、いずれも出力される項目で判定できる工夫が必要です。

現物在庫がない商品は「色」「サイズ」項目は利用していないはず。
本コラムでは、「色」に”None”という文字列(大文字小文字区別なし)がセットされていれば「在庫管理を行わない」商品として運用している前提で話しを進めます。

データ抽出イメージ

具体的な設定1.商品台帳の連携

業務システムには台帳(マスター)と呼ばれる「基礎データ」があります。弥生販売の「商品台帳」と、在庫スイートクラウドProの「品目台帳」はアイテムマスターであり、連携させるには必要な項目を一致させて運用します。

弥生販売が出力した「商品台帳ファイル」を、在庫スイートクラウドProのインポートマッピング機能で直接取り込む際の設定方法を確認しましょう。

商品台帳の行抽出

台帳に不要なデータがあっても動作はしますが、インポート時間が長くなり、無駄なシステム負荷が増えます。不要データは削除した上での連携が望まれます。

本コラムは、「在庫管理を行わない」商品には、弥生販売の商品台帳の「色」に”None”という文字列をセットして運用している前提です。「色」が”None”以外の商品(行)を抽出しましょう
Excelの論理式をベースとした書式で、抽出したい行がTRUEになるように記載します。

<インポートマッピング設定:行抽出条件>
// 色(9列目)が”None”以外なら抽出 ※大文字小文字区別なし
=CSV(9)<>”None”

商品台帳の項目マッピング

弥生販売の「商品コード」は、在庫スイートクラウドの「Keyコード」に紐づけるなど、両システムの項目対応は簡単に分かる場合が殆どです。
なお、本コラムは「規格・品番」にJANコードをセットして運用している前提です。項目の対応表と、それを実現するコードを紹介します。
(在SC・・・在庫スイートクラウドの略)

<商品台帳の項目対応表>
在SC Pro(品目台帳) 弥生販売(商品台帳)
Keyコード 商品コード(1列目)
品目名1 商品名称(2列目)
JAN/UPCコード1 規格・型番(4列目)
単位 単位(5列目)
<インポートマッピング設定:項目マッピング定義>
// Keyコード ← 商品コード(1列目)
keyコード(article.keycode)=CSV(1)

// 品目名1 ← 商品名称(2列目)
品目名1(article.name1)=CSV(2)

// JAN/UPCコード1 ← 規格・型番(4列目)
JAN/UPCコード1(article.janUpc1)=CSV(4)

// 単位 ← 単位(5列目)
単位(article.unit)=CSV(5)

具体的な設定2.売上伝票を出荷指示として連携

弥生販売から出力した「売上伝票」ファイルを、在庫スイートクラウドProの「出荷指示伝票」データとして取り込む際のポイントを説明します。

売上伝票の行抽出

売上伝票ファイルには、連携不要な行は2つあります。
ひとつが「明細区分」=「通常(値は1)以外」の行。値引(値は3)、摘要(値は5)、メモ(値は6)などは不要です。

もうひとつが「在庫管理を行わない」商品の行です。本コラムでは、在庫管理を行わない商品は「色」に”None”をセットしている前提です。

抽出したい行(明細区分(15列目)が”1” かつ 色(35列目)が”None”ではない行)がTRUEになるように記載します

<インポートマッピング設定:行抽出条件>
// 明細区分(15列目)が”1” かつ 色(35列目)が”None”ではない
=AND(CSV(15)=”1”,CSV(35)<>”None”)

売上伝票の項目マッピング

売上伝票から出荷指示に変換する際の項目の紐づけ例を示します。単純に1対1で紐づけるだけのシンプルな設定です。

<売上伝票の項目対応表>
在SC Pro(出荷指示伝票) 弥生販売(売上伝票)
元伝票番号 伝票番号(5列目)
Keyコード 商品コード(16列目)
品目名1 商品名(18列目)
単位 単位(20列目)
数量 数量(24列目)
出荷先名 得意先名称(40列目)
<インポートマッピング設定:項目マッピング定義>
// 元伝票番号 ← 伝票番号(5列目)
元伝票番号(originalNumber)=CSV(5)

// Keyコード ← 商品コード(16列目)
keyコード(article.keycode)=CSV(16)

// 品目名1 ← 商品名(18列目)
品目名1(article.name1)=CSV(18)

// 単位 ← 単位(20列目)
単位(article.unit)=CSV(20)

// 数量 ← 数量(24列目)
数量(quantity)=CSV(24)

// 出荷先名称1 ← 得意先名称(40列目)
出荷先名称1 (customer.name1)=CSV(40)

設定方法を教えてくれるAIアシスタントを用意

インポートマッピング機能の「行抽出」と「項目マッピング」の設定作業を支援するためのAIアシスタントを用意しています。やりたいことを文字で伝えれば、エクセルの論理式やVBAライクなコードといった、設定コードを自動生成します。生成結果をコピーするだけで設定がすぐに終わります。
依頼すればコメントも書いてくれます。特に複雑な項目変換の時に強い味方になってくれるでしょう。

さいごに

弥生販売と在庫スイートクラウドProのCSV連携を通じて、出荷指示の取り込みが実現すれば、ピッキングミスの削減や作業スピードの向上といった、現場の大きな改善につながります

インポートマッピング機能を活用すれば、弥生販売のCSV出力を柔軟に取り込めるようになり、面倒な加工作業も不要に。一度設定すれば、毎日の出荷指示がぐっとラクになります。

「導入は難しそう」と感じていた方も、今回のガイドを参考に、ぜひ連携設定にチャレンジしてみてください。業務改善の第一歩として、大きな成果が期待できます。

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